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第11回 すうさい堂 小阿瀬 正哉さん

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profile:こあせ まさや。10年前に吉祥寺ジャルダンにお店をオープン。
◯東京都武蔵野市吉祥寺本町1-28-3 ジャルダン吉祥寺103 ☎0422-22-1813 
13:00~20:00 水15:00~20:00 木休 

「本屋さんって、意外と多い」。この取材を始めて気づかされました。
住んでいる街に入ったことのない本屋がありませんか?
まずは入ってみて、できたら本屋の店主に好きな本を聞いてみると、思いもよらないおもしろい話が聞けるんです。
そこには、本屋を始めるきっかけになった本、人生を変えた本など、その本屋さんにとって大事な本が必ず存在する。
当たり前かもしれないけど、“本屋の主人の本の話”はおもしろい。
このブログでは、そんな本フリークな人たちのお店に行き、本を読むこと、探すこと(=Diggin’ Books)の魅力を教えてもらいます。「Diggin’ Books」毎月更新!
 

  
  
 

サブカル色の強い雰囲気がある吉祥寺。
北口のロータリーを出て、ヨドバシカメラの裏、少し怪しい一帯を抜けたところにある古本屋さん『すうさい堂』は、そんな吉祥寺の中でもひと際アングラな光を放っていました。
  
  
   
 

 
  
  
 

 
まず出迎えてくれるのはお店に住んでいる“看板猫”。1階に小さなお店がたくさん入っているアパート『ジャルダン吉祥寺』の一角にあります。
 
  
  
  

 

入り口近くにある本棚を見ると、すぐに“普通の本屋さんじゃない”とわかりますよね(笑)。
「そうかもしれませんね。サブカル、アングラ系の本を中心に置いているので、興味のない人を2秒くらいでお店を出ていきますよ。そういう人は入ってきた瞬間に雰囲気で分かりますね」

  
  
  
  

 

すごいですね(笑)。昔から、こういったアングラ系の本を集めていたんですか?
「10年前にオープンしてからずっとそうですね。文庫だと、澁澤龍彦、筒井康隆が多いです。あと、リリー・フランキーさんの本も置いてあります。リリーさんは流行る前にオールナイトのトークショーに通っていたくらい好きだったんですよ」

 
  
  
  

  

世の中にこんな本があるのか、というほど珍しいモノが多いですよね。樹海の歩き方とか、死刑についての本は普通の本屋さんでは見かけないですよ。
「アングラな内容の本は新刊の本屋さんでは大きく取り上げられることが少ないですからね。手に取る機会も少ないから、こういう世界を知らなかった人はショックを受けますよ。うちに来始めて、『歪んでしまった』というお客さんもいました(笑)」
 
  
  
  

 

ポップも手書きで制作しているんですね。
「ほとんどの本を読んでいるので、なるべくポップを作るようにしています。この本は、長年アングラ本を見てきた中でもレベルが違いましたね」

「ゴミか? アートか?」 というコピーが気になります(笑)
 
  
  
  

 
 

入り口に怪しげなフリーペーパーが置いてありますよね。
「新宿の翔壱書店が作っている超ローカルなファンジンです。AVのレビューがありながらも、マイナーなロックバンドのレビューがあるという意外と文化的な内容なんですよ。私も来月から連載を始めます」

 
  

 
 

サブカル、アングラ系の本を好きになるきっかけはなんだったのでしょうか?
「いつのまにかだから、きっかけはハッキリしないんですよね。でも、みんな結局いちばん下世話な部分を知りたいじゃないですか。そういう世界を覗けるのは“本”なんですよ。テレビも教えてくれないし、大人が教えてくれるわけでもないような世界を知るには本が一番いいんですよね。最近はインターネットもありますけどね」

なるほど。そういう本に出会うと世界観が変わってしまいそうですよね。
「そうなんですよ。だから、本は悪いモノなんですよ。純粋な心を持っている人はなるべく読まないほうがいいです(笑)」

それでは、掘っていきましょう!
 
  
  
  
  


 

1st DIG スパイダーマン/平井和正・池上遼一
「70年代に出版されていた、“和製スパイダーマン”です。大枠のストーリーは一緒なんですけど、その時代の日本の政治背景とかが反映されているので、本家よりおもしろいんですよ」

  
  
  

 

2 nd DIG 社会派くんがゆく!/唐沢俊一・村崎百郎
「社会のタブーに踏み込んでいくサブカル界でも過激派の二人がいろいろな事件について、好き放題言っている本です。もともとはネットで話題になったものが出版されたんですが、村崎さんという人は最近、殺されてしまったんですよ」

  
  

 

3rd DIG ブレンダと呼ばれた少年/ジョン・コラビント
「生後すぐ行なった手術のミスで、性器を失い女の子として育てられた少年の話です。あとがきが衝撃的なんですよ」
 
  
  
  
  

  
  
クセにあるものほどハマッてしまうとやめられなくなる。
『すうさい堂』にある本も最初は怖いが、見始めると止まらない。

合わない人はすぐにお店を出るが、ハマってしまったら時間を忘れてお店に入り浸ることになる。
自分はどちらのタイプか試してみてほしい。

ちなみに、この黒猫はかれこれ6年お店にいるとか。

取材/写真/文/宮本 賢


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