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第47回 邑楽ゆうさく(23)・多々良沼男(23) ポンテピアオーナー・バンドマン | ブログ | マガジンワールド

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好きなものや夢中なこと、そして自分のやり方で自分らしさを貫いている人はやっぱりカッコいい。シティボーイってどんな人のことを言うのか。答えはひとつじゃないけれど、このブログに登場するみんなが共通して持っているものは“行動力”だと思います。毎回、彼らに迫りながら、シティボーイとはなんたるかを考えるウェブ企画『シティボーイを探せ!』

「いつかは自分の店を」と考えている人も多いだろう。じゃあ“いつか”っていつだ? 費用は? 準備は? どこで? その他もろもろの諸事情を後に回して、自分たちの城をホームタウン、西荻窪に築いた2人がいる。

邑楽ゆうさくさん(写真左)と多々良沼生さん(写真右)がオープンさせた「bestplace PONTEPIA・ベストプレイス ポンテピア 」は彼らの“好き”が凝縮された店だ。置いてあるものは雑貨に古着、書籍とエトセトラ。みんながいつか持っていたけど、もう失くしてしまったもの、家に帰っても見つからないものがズラリと店内に並ぶ。

さまざまな場所で調達してきた物、物、物。おもちゃ箱をひっくり返して、そのまま店にしたような店内。この収集センスはどこからやってきたのか。
「小さいころから古い雑貨やおもちゃ、ガラクタみたいなものを集めるのが好きだったんです。実家にあった部屋も、1人暮らしをしている部屋も、ここも同じ感じです(笑)。好きなものを集めたお店をいつか開けたらなぁってぼんやり考えてたことが実現しちゃいましたね」(邑楽さん)

オープンは昨年10月、まさに”ぼんやり考えてたことが実現しちゃった”ポンテピア。構想も漠然としたものがあっただけなのに、いきなりの開店! キッカケは同じ年の8月、この場所にあった古着屋さんが店を畳むことになり、邑楽(おうら)さんと顔馴染みの店主から「店、やってみれば?」と言われたことだった。

「友達と将来のことを話してて『いつか店を開く』と言った夜にお話をいただいたんです。運命感じて、やります! って即答しちゃったから、お金のことも不動産のことも、帳尻を合わせなきゃの一心で取り組みました(笑)。多々良が東京に出てきたタイミングもその頃で、おもしろそうだから2人でやることに。僕だけより、ふたりの方がなんとかなりそうじゃないですか」(邑楽さん)
「それまでは実家がある群馬に住んでました。組んでたバンドの解散が決まって、邑楽に相談したんです。『じゃあ東京に出てきて、店を一緒にやろう!』って言われて悩む間もなく乗っかって(笑)。遊ぶようになって5年くらいですが、こうなるとは思ってもなかったです」(多々良さん)

なんとびっくり。多々良さんは店がオープンする1ヶ月前の東京進出。やりたかったから「やる」、誘われたから「乗る」。ふたりの行動を起こすフットワークの軽さ、スバラシイ! 5年間、群馬と東京で交流をしていた彼らの出会いも聞いておこう。

「吉祥寺のライブハウスで対バンした後の打ち上げです。ふたりとも隅っこに居て、大人しくやりすごしてて。隅っこを陣取る者同士、漫画や音楽の話で盛り上がりました(笑)。そっからライブでも会うようになって、ライブがなくても遊ぶようになって、なんだかんだ月に1回は群馬でも東京でも会ってましたね。5年間ずーっとそんな感じでした。多々良が東京に出てきてからはほぼ毎日、仕事でも遊びでも会ってますね(笑)」(邑楽さん)

ついに東京で2人は合流。開店準備期間に突入する。アレも必要。コレも必要。完成が近づくにつれ、どんどん出てくる欲しいもの。買ったら買ったで運ぶのは自分たちだ。ポンテピア一番の難所である急な階段を、登って運ぶ毎日。ギリギリ通るか通らないか、大きい什器を傷つけないように慎重に!

そんな怒涛の1ヶ月間を終え、華々しくポンテピアを開店。店主になった二人に変わったことを聞いてみると……。
「もっとカツカツになりました(笑)。メインの商品は数十~数百円の雑貨ですし。店を続けるためにふたりとも、朝6時くらいから店がオープンする15時前くらいまでほとんどバイトしてます。夜も店番をひとり置いて、もう一方はバイトしてる状況です。でも、意外となんとかなるもんだなぁって。休みはほとんどないですけど、西荻窪に楽しい店があるぞ! って言ってもらえるように今はとにかく働きます。お客さんと置いてある商品ををあーだこーだ言ったり、店内で流しているビデオを一緒に1本見ちゃったりして、そういうたまり場になったらなと」(邑楽さん)

そう、この店でまず目に入るものは、いたるところに置かれたビデオテープ。奇跡的に現役のテレビデオにテープを突っ込んで巻き戻して再生するなんて行為はもはやイベントである。なんでもリモコン(ときには声)で操作できるこのご時世、個人商店が多いこの街だからこそ成立し得る、秘密基地的空間なのかもしれない。

「店を始めてからは『欲しい』から『置きたい』に変わって、自分の欲がなくなったというか(笑)。見てもらえる場所ができて、気に入った物を誰かと共有できるってこんなに楽しいんだって気づきました。ネットでなんでもすぐ買えちゃう時代だから、ネットでは見つけられない商品をたくさん置いて、僕たちがおもしろいと思った物を、お客さんにもおもしろがってもらえたら嬉しいです。ビデオを観に来るだけも大歓迎です。変な場所に迷い込んじゃったときの不思議な感覚を味わって欲しいし、「何だココは?」って場所に、怖いもの見たさで入っていける人を増やしていきたいという思いもあります(笑)」(多々良さん)

「西荻窪をもっと楽しい場所にしたいし、ヘンテコなものを集める人も増やしたいです。お店もバンドも、お客さんを楽しませるっていうことは同じですし、やっていればどちらにも生きることがあると思います。突飛なスタートを切ったポンテピアですけど、バイトを続けながらでも店を存続させていきます! とりあえず、2年後の不動産の更新までは……(笑)。休んでいた音楽活動も今年から少しづつ再開していくので、店もバンドもバイトも、睡眠時間を削ってでも、すべて頑張っていきたいですね」(邑楽さん)

アンティークショップ経営者、バンドマンでありバイトマン。やることは山積みだけど、底なしの体力と軽快なフットワークできっと乗り越えられる。うわコレ懐かしい! どっから持って来たの! どうやって使うんだよ! 子どものころのはしゃいだ記憶を呼び起こす空間を築き上げ、西荻窪で“好き”を発信し続ける2人。ポンテピアがオープンした同じ時期にライターという仕事を始めた僕も、まだまだアルバイトは継続中。でも、彼らのとりあえずやってみる大胆さとその後をどうにかする努力に触れて、“やりたい”を見つけてしまった同志として、彼らに負けじと頑張っていこうと強く思いました。

最後に美大生のお客さんが描いてくれた可愛らしい2人のイラスト。こんなふうに、ポンテピアの“おもしろい”に共感をして、応援してくれる人が増えていくといいね。誰でもネットショップのこの時代に、実店舗を選んだ彼らのロックンロール的攻勢を今後もお楽しみに! お店が気になった人は彼らの音源もぜひ聞いてみて下さい! 

邑楽さんのバンド「ザ・ラップキス」

多々良さんのバンド「フェチ/FETI」

[bestplace PONTEPIA・ベストプレイス ポンテピア ]
東京 杉並区 西荻北 2-26-5ヒューマンプラザ千代野2階
定休日: 水曜日 営業時間 15:00~22:00

文・写真 久嶋敢太

https://blog.magazineworld.jp/popeyeblog/30341/


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