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第14回 鍵和田啓介(25) フリーランスライター

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「Magazine for City boys」をスローガンとしてリニューアルをしたPOPEYE。このブログでは“どこかにいるはず”のシティボーイ“を捜索。彼らの地元「ホームタウン」を巡りながらそれぞれの“シティボーイらしさ”をリサーチしていきます。
 
例えば、スケーターの履くVANS、職人の使う道具がかっこよく見えるのは、それぞれに真似のできないスタイルがあるからではないでしょうか? 
 
何でも似合うことより、その人にしかないスタイルがあることこそ“シティボーイらしい”と思うのです。
このブログでは、そんな独自の持ち味を持ったシティボーイを探して行きます!
「シティボーイを探せ!」毎月更新!
 
 
 

フリーランスのライターとして活動をしている鍵和田さん。なぜ、若くしてフリーランスとして活動するようになったのか。第二の植草甚一と言っても過言ではないほど、本と映画を好む鍵和田さんのホームタウン、吉祥寺で“行きつけ”を巡りながら鍵和田さんのルーツを探っていきます。
 
 
 
「まずは古本屋さんへ」

 

最初に向かったのは古本屋さん。鍵和田さんは小学校低学年に頃から本を読むのが大好きで、大学時代には年間100冊以上は必ず読んでいたほどの読書中毒者。
「安く手に入るので、古本屋さんのセールコーナーでよく買っています。
この折口信夫さんの全集も、面白いですよ。この全集は普通に買うと結構いい値段がするものが多いです。なので、このセールコーナーには昔からお世話になってますね」


本を買い過ぎてしまって、部屋の本棚には収まりきらず、出窓にも本がぎっしり。本がありすぎて窓から光が入りません。部屋のありとあらゆるところに本があって、家の倉庫にも何百冊という本が保管されています。「世界のおどけ話」から「サバイバルマニュアル」、「家庭の医学」まで….
ありとあらゆるジャンルを網羅しています...

「毎日行ってるビデオ屋へ」


古本屋さんの後は、レンタルビデオ屋、「DORAMA」に行くのが定番コース。この2つは鍵和田さんが生活する上で欠かせない。映画のレンタル記録を調べたらなんと昨年だけで321本!
「レンタルは基本的には映画館で上映されなかった『ソフトスルー』が多いですね。最近はラブコメにハマっているんですよ。ラブコメって実は奥が深いんです。本も映画も、隠れたメッセージがたくさんある、一筋縄ではいかないような作品に惹かれますね」

「ネクタイも好き」


基本的に洋服は古着を買うことが多い鍵和田さん。今日も“行きつけ”のセレクトショップへ。そんな鍵和田さんのこだわりは“ネクタイ”。何か一つこだわりを持っているあたりがシティボーイ。
 
 
 
「バウスシアター」

 

吉祥寺に数多くある行きつけの中でも、一番のお気に入りスポットは、29年前からある老舗映画館、バウスシアター。
「ここには小学校低学年の頃から通っているんです。なので、もうかれこれ15年は通い続けていますね」
何百というお店がある吉祥寺でも、行くお店は明確。目的に合わせて“行きつけ”のお店を持っているのはシティボーイの証です。
 
 
 
「爆音映画祭」

「もともとライブハウスだったということもあり、サウンドシステムが他の映画館とは違うので、「爆音映画祭」という映画を大音量で観るイベントをやっているんです。この映画祭で、初めて録音技師の方のこだわりをすごく感じましたね」
 
 
 
「爆音映画祭での出逢い」

毎回通っていた「爆音映画祭」での出逢いが今の仕事を始めるきっかけに。
「爆音映画祭では毎年HP上で上映作品を募集していて、僕も大学4年生の時に応募してみたんです。その応募が主催者であるboidという配給会社の樋口泰人さんの目にとまったらしく、Blogで『これをリクエストした人は連絡下さい』と書いてあったんです。それがきっかけで爆音映画祭を手伝うようになりました。大学卒業後は編集プロダクションに就職したのですが、boidが配給する映画の試写会へ行くと樋口さんに『監督にインタビューしてよ』と言われて会社に内緒で記事を作りました。その結果が自分の中で納得のいくものだったんです。同じ頃、知人から新しいプロジェクトに誘われたこともあり、会社を辞めてフリーランスになりました」
 
 

「行きつけの飲み屋にて」

いつかは映画批評を書きたいという鍵和田さん。
「高校生の時に、蓮實重彦さんという映画批評家の方がきっかけで批評に興味を持ち始めました。蓮實さんの批評は、映画を観るよりその批評を読んでいる方が面白いこともあるくらいです。蓮實さんのように、普通に観ていたら見落としてしまうようなところを僕も伝えていきたいですね」

 
ここで、鍵和田さんの人生を変えた一冊、一本を、実際に鍵和田さんの文章で紹介してもらいましょう!!
 
 

「生と病の哲学-生存のポリティカルエコノミー-」小泉義之著

「モテ」にまつわる説法が世間に横行している。しかし、そこにはフェミニズム的な思考が抜け落ちている。どうしたことか。フェミニズムが女子のやる気を上げる学問であるからには、これを念頭に置いて行動することが「モテ」への近道になるはずではないか。加えて、本書に収録された「生殖技術の善用のために」と「性・生殖・次世代育成」を読んでみれば、フェミニズムは男子をビビらせる学問でもあることを思い知るだろう。「女子力」の何たるかを痛感してそれをリスペクトせずにはいられなくなるだろう。そこから、来るべき「モテ」メソッドが生まれるはずだ。
 
 
「魔法にかけられて」ケヴィン・リマ監督

私は本作でラブコメに目覚めた。ラブコメというジャンル映画が持つ果てしないポテンシャルに気づかされた。ディズニー映画でありながら、ディズニーがプロパガンダしてきた思想、すなわち「いつか白馬に乗った王子様が迎えにきてくれる」という思想を自己批判してみせるのである。そんなのは「夢と魔法の世界」だけのお話ですよと総括してみせるのである。まったく身も蓋もない話であるが、本作はそこでは終わらない。そんな現実世界の身も蓋もなさをそっくりそのまま肯定してしまうのであるから、痛快と言うほかない。
 
 
 

 
小さい時から好きなものは変わらない。気付いたら、好きで好きで仕方のなかったものが仕事になっているのはシティボーイの理想。

そんな理想のシティボーイに必要なのは、ぶれない軸と面白いところへ自分の足で飛び込んでいく行動力。

あとは、年間100冊の読書と300本の映画鑑賞。と言いたいところだけど、そこまでできる人はそういないんじゃない?

取材/文/廣瀬大士  写真/宮本賢

 
 


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