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第22回 BOOK APART 三田修平さん

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profile:みた しゅうへい。大学卒業後、書店員に。2012年3月に移動式の本屋『BOOK TRUCK』を、2013年10月に『BOOK APART』をオープン。日本各地のイベントや店舗などに出店している。出店情報はツイッター、フェイスブックで発信。◯神奈川県横浜市港北区大倉山3-5-11 大倉山集合住宅I号室 12:00〜19:00 facebook:http://www.facebook.com/mybookapart 
 
「本が読みたいなあ」って思うときほど、面白い本が見つからなかったりするから不思議だよね。だったらいっそ街に出て、本選びのプロにおすすめを聞いてしまおう!  
このブログでは、本が大好きな人たちのお店に行き、本を読むこと、探すこと(=Diggin’ Books)の魅力を教えてもらいます。今月も張り切って行ってきます!
 
 
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東急東横線大倉山駅から線路沿いを横浜方面に歩いて2分。コンクリート造りのモダンな集合住宅の一角、「本当に本屋なの!?」と思ってしまうような場所にあるのが今回お邪魔した『BOOK APART』。建物は金沢21世紀美術館などを手掛けた建築家 妹島和世さんによる設計。実はここ、連載の第7回にも登場した移動本屋『BOOK TRUCK』の三田さんが手掛けている本屋なんです。(第7回 BOOK TRUCK

なんといっても特徴的なのが、家の間取りに合わせた本のセレクト。ここは住宅用の物件を店舗として利用した、本が中心の架空の住居。店内にはキッチンやベッドルームがあって、まるで誰かの家に遊びに来たかのよう! さっそくオーナーの三田さんに案内していただきました。

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まずは3階。ここはリビングルーム、キッチン、ダイニングルームのフロア。

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「リビングルームは映画、音楽、アートなど趣味全般の広いテーマを扱っています。海外の雑誌やアートブックもありますよ」
大きいソファーがあって、思わず長居してしまいそう。

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「ダイニングはさらに実用的な本が多くなっていますね。暮らしを豊かにするためのライフスタイルやインテリアについての本を置いています」

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「キッチンはまさに食に関するコーナー。レシピ本はもちろん雑誌の食特集や食がテーマのリトルプレスなどもあります。レシピ本などの実用的なものはなるべく新刊を置くようにしているんです」
冷蔵庫や食器まで置いてあって、本を見ながら思わず「何作ろうかな」なんて妄想も膨らみます。

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ちなみに、各部屋に置かれた棚はなんと三田さんのD.I.Y.! 

お次は2階へ。窓からの光りが気持ちいいこのフロアはベッドルームと書斎。窓のペイントはイラストレーター佐伯ゆう子さんによるもの。
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「ベッドルームは寝る前の時間を想定して、読むというよりも目で楽しむような絵本やショートストーリーを揃えています」
一日一話形式の懐かしい本も発見! 子どもの頃って生活の中に自然に本が溶け込んでいた気がする。こういう懐かしいものを手にとると読書欲が刺激されるかも。
ちなみにベッドや目覚ましがあって、思わず寝転んでしまいそうだけどまだ寝てるお客さんを見かけたことはないそう。

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「書斎には国内外問わずにアカデミックな教養の本や読み物を置いています。ここは一番“読書”を意識したコーナーですね」
哲学書から小説、はたまた社員向けに配布されたと思われる、社史のようなあまり世間に出回らないものまで……! 色んなジャンルの本が混ざって置かれていて、本当に誰かの書斎を覗いている気分。

―架空の部屋を作って、お店として利用しているのは面白いですよね。『BOOK APART』をオープンされたきっかけはなんですか?
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「『BOOK TRUCK』のお客さんに、『普段はどこで営業をしているのか』と聞かれる事が多くなったんです。それに、『BOOK TRUCK』は毎回出店する場所によって本の品揃えを変えているので、本を保管する倉庫も欲しいと考えていました。そこでイベント以外にもお客さんに案内できて、本をストックできる固定のお店を開くことにしたんです」

―最初から家を使って本屋を開きたいと考えていたんですか?
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「特に意識していたわけではないんです。ただ、今までと違う本との出会いをお客さんにしてほしいと思って、物件は店舗としても使える住宅も視野に入れて探していました」

―今までと違う本との出会いとはどういったことでしょうか?
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「自分の店を開く前にBACHの幅さんという書店のディレクションをされている方に出会いました。彼の影響で、今は置いてある本自体だけでなく本を購入する体験も大切にすべきだと知ったんです。そこで、本を読もうと思ってもどこから手をつけたらいいかわからない人も気軽に入れるように、店をリビング、キッチン、ダイニング、寝室、書斎の5つのスペースに分けました。部屋に合わせて、それぞれ生活のどういう場面で読んでほしいかイメージしながら本を置いているんです」

たしかに、面白い本が読みたい! って本を探してもキリがないけど、本と向き合いたいシチュエーションならばイメージしやすい気がします。

―そもそも三田さんが本をたくさん読むようになったきっかけはなんですか?
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「大学のころ目指していた会計士の勉強のために、経済小説や企業小説を読んだのがきっかけでした。高校の頃までは本をまったく読まなかったので、最初は勉強と思って読んでいたけど、読み進めるうちに面白くなってハマってしまったんです。それからは伊坂幸太郎や村上龍、太宰などの純文学、カポーティーなど色々な本を読みました。書店でバイトをはじめてからはアートの本にも興味が湧いて……自分の興味の広さと、色々なジャンルを扱う本屋は相性がいいのかもしれないですね(笑)」
本の世界にハマるきっかけはどこにあるかはわからない。もともと本を読まなかった三田さんだからこそ、本を読むきっかけづくりから手伝ってくれる。

それでは今月もディグって行きます! 
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1st DIG 『世界の文学シリーズ』
「著者の出身国ごとに分けられた作品集です。イギリスのシェイクスピアの作品やアメリカのフィッツジェラルドの『偉大なギャツビー』など、有名な作品が集められています。本のデザインも凝っていて、シリーズそれぞれ絵柄が違うんです」
「書斎」のエリアから。タイトルだけでも知っている作品が必ず1つは入った作品集なら、気軽に手にとることができそう。一見普通の作品集だけど、本の側面にも細かくイラストが描かれていて、持っているだけでも嬉しくなる。

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2nd DIG『POSTERS BY MAURICE SENDAK』
「『かいじゅうたちのいるところ』で有名なモーリス・センダックの作品集です。大きな判型で、彼の画を存分に楽しめますよ」
「ベッドルーム」のエリアから。子どものころ一度はこの画を目にしたことがある人も多いはず。夜寝る前にぼーっとページをめくって彼の画を眺める……すごいいい時間になりそう!

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3rd DIG『酒の逸話』
「これはサントリー株式会社発行の、お酒に関するエッセイ集です。非売品の貴重なものです! 和田誠に、遠藤周作、開高健などそうそうたる顔ぶれの文章を楽しめます」
「キッチン」のエリアから。こんな豪華なエッセイ集めったにありません! 一つの企業が作ったエッセイ集にこれだけのメンバーが書き下ろし。必読です。

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ついつい本が読みたいときは「何か面白い本ないかな」と、漠然と内容に注目して探してしまいがち。でも、ここ『BOOK APART』のように、どんな場所で読みたいかをイメージして本を探してみると新たな発見があるかも。それに、本を手に入れる経緯だって大切な読書体験の中に含まれる。読書は本選びから楽しくなきゃね。


『BOOK TRUCK』にも遊びに行こう。
出店情報はこちらから
https://www.facebook.com/Booktruck

取材/写真/文/飯野僚子


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