米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のために、両乳房の予防的切除手術を受けたことが明らかになってから、たくさんのメディアから問い合わせや取材、執筆依頼をいただきました。この2か月、大忙し。
まだ、がんになっていないのに、予防のために乳房を切除する、この選択を私たち日本人は、なかなか受け入れられないかもしれません。
でもアメリカでは以前から、アンジーと同じ、「遺伝性乳がん、卵巣がん症候群(HBOC)」とわかった人で、“予防的乳房切除術”を行ってきた女性たちはたくさんいます。アンジーだけが“特別の選択”をしたわけではありません。
私の周りの乳がんサバイバーの女性たちと話をすると、「アンジーの立場だったら同じ選択をする」と話す人がほとんど。私も「YES」です。たぶん、治療を経験し、乳がんの怖さを知っているからかもしれません。「予防できるものなら、予防したい」という気持ちを持っているのだと思います。
私は今年、乳腺放射線科専門医の戸崎光宏先生(理事長)と、「NPO法人 乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」を立ち上げました。
乳がん医療に携わる専門家(医師、技師、企業)と患者が一緒に、乳がんの検診や診断について意見を出し合って、いい方向へ解決していこうというもの。
戸崎光宏先生は乳腺専門の放射線科医。乳腺MRIの画像診断は世界レベル。
戸崎先生は「マンモグラフィー検査だけで、検診として本当に十分なのか、日本女性に適しているのか、という問題をもっと議論しなくては」と。
日本女性は、アメリカ人のような脂肪の多い乳房ではなく、高濃度乳腺(乳腺密度が濃い)の人が多いため、マンモでは真っ白な画像になってしまって、しこりが映りにくいのが特徴。超音波(エコー)やMRIというほかの画像診断を組み合わせる必要性などを、もっと知ってほしいと話しています。
そのためには自分の乳腺がどんな性質をもったものなのか、ぜひ画像を見て知ってほしいと思います。
私のマンモグラフィーの写真。日本女性に多い典型的な高濃度乳腺なので、マンモでは真っ白に写る。だから、しこりが隠れていてもわかりにくい。私の乳がんは、マンモでよく映る“石灰化”というツブツブだったため早期発見された。
戸崎先生は、この8月から診療を開始する京橋駅直結の「亀田京橋クリニック」(東京都中央区)に診療部部長、画像センター長として赴任されます。
亀田京橋クリニックでは、乳腺ドックの受診者の方に、画像診断の結果を戸崎先生が直接説明する外来を設けるそうです。
また、アンジーと同じ遺伝性乳がん、卵巣がん症候群に対応できるような、遺伝子カウンセリング、MRドックなどなど、日本の乳がん診療を早く世界レベルにできるように努力したいとおっしゃっています。
誤解してほしくないのですが、もちろん、マンモグラフィー検診は必要です。そして、ぜひ自分の乳腺はどんな性質か、画像を見て知ってほしい。ひとりひとりに合った乳がん検診ができるようになるために…。
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アンジーの話題で大忙しになった、私を支えてくれた漢方薬。いつもと違うものを今週は飲みました。
原稿書きで座りっぱしだったため、下半身が冷えてむくんだので「五苓散」を。そして、締め切りのプレッシャーで眠りが浅くなるのを改善するために「抑肝散加陳皮半夏」。