トップス ¥39,900(ZUCC | A-net Inc.)/イヤリング ¥4,200(プティローブノアー)
Photo: Satoshi Yamaguchi(object) Text: Ryoko Kobayashi
花のイメージをテーマにしたミニマムメイク
ベトナム人の両親を持ち、東京で育ったという岡本さん。
「人とは違う生い立ちからきているのか、彼女には、デリケートな一面がありつつも、人に惑わされないヴィヴィッドな強さがある。そこを失わないようにしたいけれど、ヌードメイクではありきたりだし、キラキラ飾り立てるのも普段メイクをしないという彼女には違和感がある。そこで発想を転換。彼女の強さに裏打ちされた、素顔のままで垢抜けている印象を膨らせてみたら、キレイに色づいた花のイメージが浮かんだ。それを今回のメイクのモチーフにしました」(UDAさん)
頬全体に広げたフューシャピンクのチーク(1)がそのひとつ。褐色がかった肌にふわっとした可憐な空気を漂わせるには、黄色みのないピンクを。頬の高い位置を起点に、上は目尻のアイホールの外側から頬骨の下までを覆うように薄く薄く重ねていく。
「目の下にはベージュ(3)。目元に重さを与えているクマは、彼女の欠点ではなく魅力なので、完全に消さずにニュアンスを残しています」(UDAさん)
目元にはさらに、赤みのあるアイペンシル(2)でラインを。普通目尻にかけて濃く描くところを、目頭側を濃くすることで、メイキャップ感を出さずに引き締める。
「唇は、花のイメージのフレッシュなピンク(4)。ただし、シックなトーンのリップ(5)を上から重ねて、目元と食い違うようなポップさが出すぎないように。2色を混ぜてから塗るのではなく、重ねることで、ピンクが濁らずに奥から透けるような発色を出すことができます」(UDAさん)
真似だけでなく、気分を大切に
「メイクは、映画のヒロインや憧れのモデルを目指すだけでは、新しい発見がない。今回の〝花〟のように、人ではないイメージもあり。気分が上がった音楽や、なんとなく気になった色など抽象的なイメージのほうが、かえってメイクに広がりが生まれることもあるんです」(UDAさん)
今月のミューズが生まれるまで
岡本直美さん
(学生)
2012.10.23 at Harajuku
(Photo: UDA)
人でごった返していた
原宿で出逢った彼女。
「キョロキョロと
よそ見することなく、
駅に向かって歩く姿に
周りの目を気にしない
揺るぎなさを感じました。
目鼻立ちははっきり
しているけれど、
バランスがよくて
軽やかな顔立ち。
そして、繊細な表情。
見た目はピュアだけど
人に染められてしまわない
芯のある人だと思った」
─UDAさん
メイクアップ: UDAさん
メイクアップアーティスト。外資コスメブランドを経て、現在は、本誌をはじめ、ショーやアーティストを手がけるなど多忙な日々を送る。その人の魅力とファッションを結びつけ、個性を輝かせるメイクアップの腕とセンスはピカイチ。連載では、自ら街に出て、モデルをハント中。
目の下のクマはコンシーラーなどで消してしまわず、ウォームベージュを重ねて、あえて余韻を残す。
毛の1本を描いてはぼかす繊細な作業で、いつものすっぴんでいる彼女にフィットするナチュラルな眉に仕上げた。