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第37回 渡邉ショーン佳 (19) | ブログ | マガジンワールド

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夢中なことがあったり、叶えたい目標があったり、誰にも真似できない自分だけの“何か”を持ってる人ってかっこいい。
シティボーイってどんな人のことを言うの!? という問いの正解は決して一つではないけど、彼らが共通して持っているのは、そういう自分の興味に対する強い想いなのではないでしょうか。  
このブログでは、毎回1人のシティボーイに密着取材。彼らのホームタウンを巡りながら、シティボーイの実態を調査していきます。

本誌3月号『二十歳のとき、何をしていたか?』特集のときに『プロレスリングNOAH』の清宮海斗選手に会いに行った。試合中、どんなに打ちのめされても立ち上がる清宮さんの勇姿にどんなに元気付けられたことか! それからというもの体一つで相手と戦い、シンプルに強くあることを志す格闘家という職業に興味を持った。

というわけで今月のシティボーイは総合格闘家を目指し、日々トレーニングに励む19歳の渡邉ショーン佳さん。彼の通う道場がある明大前にお邪魔してきました!

明大前の駅で待ち合わせ。身長182センチ、体重80キロ。この春、明治大学に入学したばかりというショーンさんは、堂々とした体つきで大人っぽい! まずは今の生活リズムについて聞きました。
「まだ大学生活が始まったばかりなので、ばたばたとしているんですが、授業以外は週2・3回の道場の稽古が基本です。空いた時間に「ココイチ」のバイトと自動車教習所の講習を入れて、それ以外は公園で筋トレをすることが多いです。総合格闘技を始めたのは高校2年生のとき。以来、ずっと稽古中心の生活ですが、大学生になってもそれは変わりません!」

あんまり友達と遊ぶ時間が取れないというショーンさん。
空き時間に公園で筋トレなんてストイックだ。
「公園での筋トレは毎回1時間半くらいでしょうか。家の近く、夜中の人目につかない時間にやることが多いです。懸垂をひたすらやっていますね。これをしないと安心しないんです(笑)」
イチローが学生時代深夜に自主練習をコツコツとしていた話は有名だけど、それに似た気迫を感じる……!
そもそも、そこまで総合格闘技にのめり込んだのはなんでだろう。

「総合格闘技に興味を持ったのは中学の頃。もともと『WWE』というアメリカのプロレスの試合を見るのが好きで、高校受験のときも勉強の息抜きとしてYouTubeで動画を見ていました。あるとき、その関連動画として『PRIDE』という日本の総合格闘技の大会の試合動画を発見したんです。そのときはロシアのエメリヤーエンコ・ヒョードル選手とブラジルのアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ選手の試合だったのですが、それがもう衝撃的で。そこからアメリカのUFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)という大会なども調べてハマっていきました。総合格闘技はプロレスのようにショー的な要素があるわけではないので、面白くない試合もあるんです。でも、常に真剣だからこそドラマチックな展開があったときは、現実でもこういうことってあるんだって感動できます」

総合格闘技の存在を知ってすぐに選手になることを決意したショーンさんだけど、なかなかすぐには練習を始めることができなかったのだとか。

「高校に入ったらすぐに道場に入門をしようと思ったのですが、両親から反対されてしまったんです。そこで高一のころは1年間ひたすら筋トレをして親に真剣さをアピールしました。それでもなかなか認めてくれなかったので、二年生になったときに半ば強制的に『道場行ってくる!』と伝えて近所の道場に入門してしまったんです。今でも親は『しょうがないな』というような反応なんですが……(笑)」
といいながらも、トレーニング中の体を気遣って毎日バランスのとれた、たんぱく質多めの食事を作ってくれるというお母さん。言葉はなくとも応援する気持ちが十分伝わってくる。

というわけで3年前から晴れて道場での稽古がスタート!
この日もちょうど稽古があるということで練習風景を見学させていただきました。やってきたのは駅からすぐの『ガッツマン』。修斗第3代ミドル級チャンピオンである桜田直樹さんが開いたこの道場は、桜井マッハ速人選手をはじめとした、プロの選手も輩出している総合格闘技界の名門。

「自宅が近いという理由で選んだのですが、ここはアマチュアの人もプロと一緒に練習ができる珍しい道場なんです。稽古は、修斗の理念である「打投極」のすべてが学べるよう、曜日ごとにキックボクシングの日、寝技の日と分かれています。僕は上級者向けの稽古がある火曜日と木曜日にプラスして、週によっては月曜日と金曜日にキックボクシングと寝技の練習に来ています。所属しているのは20代後半〜30代の方が多く、僕は最年少。でもみんな優しいです!」

まずは稽古前にストレッチ。誰よりも早く到着し、丁寧に体をほぐしていきます。
そして稽古がスタート。この日はキックボクシング。1時間半の基礎レッスンと2時間の実践的なレッスンのセットで進みます。

 
アップを終えたあとはシャドーとミット打ちの練習を数ラウンドずつ。
館長の桜田さんいわく「ショーンはバランス感覚がすごくいい」とのこと。実践前の桜田さんによるデモンストレーションで相手役のお手本になることもしばしば。
最年少ということもあり、先輩方からいじられて場を和ませていた彼も、グローブをはめると別人に。大きな体をフットワークよく動かす様子は、たしかに安定感がある!

シャドーとミット打ちの後は、対人練習のスパーリング。
自前のグローブとすね当てをつけて挑みます。オールブラックがイケてるね。
 

途中、プロとして活躍する荒井勇二選手と組む場面も。
「間近にプロの方の動きを見られるのは本当に貴重でいい経験になります。ときどき試合の手伝いに連れて行ってくれることもあって、試合前のアップやミット打ちの相手を任せてもらえるんです。そこでプロになるためのアドバイスもしてくれて。先輩はみんな強いだけでなく人間としても憧れる素敵な人ばかりです」

最後は筋トレで前半のレッスンは終了。普段は腕立て伏せ30回のところ、この日は取材ということで特別に50回! 終わった瞬間思わずガッツポーズ。
 

「練習は正直毎回きついけど、辞めようと思ったことは一度もないんです。普段、対人練習でやられてばかりの相手にいい動きを見せられたときは、はっきり上達を実感できるし嬉しいですね」

稽古後は道場内の掃除をするのがルール。
ものを大切にすること、挨拶をすることも強さと同じくらい大切。ショーンさんを初めて見たときに感じた落ち着きは、この道場で身についたことなのかも。
最後にこれからのことについて聞きました。

「今まで公式の試合に出たことがなかったので今年こそは出たいと思い、先日館長にも相談したところなんです。目指すは修斗やパンクラスのアマチュア大会のような大きな試合。将来はプロになりたいですが、今は試合に出て経験を積むことに集中したいですね。まわりのプロの先輩からも「まずは試合に出ること。勝ち続ければ自然とプロになれる!」と励ましてもらっています。大会は僕より年上の方が多く出場するので、尻込みせずに挑みたいですね。直近だと大会は7月、それまでに苦手な寝技をまずは克服したいです!」

桜田館長もショーンさんの真面目な性格を汲み取り、あえてこれまで大会に出ることは強要せずに本人の意思に任せていたのだとか。ショーンさんが総合格闘技を初めてから3年、ついに大会出場を決意した今年は、彼にとってプロへの道の本当のスタート。謙虚に、基本を一つ一つこなしていく彼なら、初試合だって落ち着いて臨めるにちがいない!

写真・文 飯野僚子

https://blog.magazineworld.jp/popeyeblog/29332/


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